会社設立はfreee・マネーフォワード・弥生のどれでやるか
「3社とも似たようなサービスに見えて、決め手がない」——実は、会社設立サービスとしての機能そのものには、ほぼ差がありません。それより先に、そもそも「自分で全部やる」「クラウドサービスを使う」「司法書士に丸投げする」のどれで進めるかで、工数と費用は何倍も変わります。まずそこを整理したうえで、クラウド3社の違いを見ていきます。
- 会社設立の進め方は大きく3つ。①完全に自分でやる ②freee・マネーフォワード・弥生などのクラウドサービスを使う ③司法書士にすべて任せる。費用は①が最も安く、③が最も高い。工数はその逆で、①が最も重く、③が最も軽い
- ほとんどの人にとって現実的なのは②。株式会社の登記は司法書士の独占業務のため、③を選んでも「基本情報の決定」と「資本金の払込」だけは自分でやる必要がある
- ②を選ぶと決めたら、freee・マネーフォワード・弥生の3社の書類作成機能自体にはほぼ差がない。差がつくのは電子定款の手数料と公告方法くらいで、本当に効いてくるのは「設立後、何年使う会計ソフトか」という論点
- 迷ったら、顧問税理士が決まっているならその税理士が使い慣れているソフトを優先。決まっていないなら、経理知識ゼロで自分で回すならfreee、簿記知識がある担当者がいるならマネーフォワード、とにかく安く電話サポートも欲しいなら弥生
まず「自分でやる」「クラウドを使う」「丸投げする」で工数と費用を比べる
会社設立の進め方は、大きく3パターンに分かれます。①法務局のサイトや書籍を頼りに完全に自分でやる、②freee・マネーフォワード・弥生などのクラウド会社設立サービスを使う、③司法書士にすべて任せる、の3つです。株式会社を設立する場合の目安で比較すると、次のようになります。
| 項目 | ①完全に自分で(紙定款) | ②クラウドサービスを使う | ③司法書士に丸投げ |
|---|---|---|---|
| 費用目安 | 22万〜24万円 | 18万〜20万円 | 25万〜35万円 |
| 内訳の考え方 | 登録免許税15万円+定款認証3万〜5万円+定款の収入印紙代4万円(紙のため)+諸経費 | 登録免許税15万円+定款認証3万〜5万円+電子定款のため印紙代0円+代行手数料0〜5,500円程度 | 左記の実費18万〜20万円+司法書士報酬5万〜15万円 |
| 自分の実働時間 | 10〜20時間程度+公証役場・法務局への訪問数回 | 3〜5時間程度(フォーム入力が中心) | 打ち合わせ含め1〜2時間程度 |
| 設立までの期間目安 | 2〜3週間 | 1〜2週間 | 1〜2週間(自分の作業負担は最小) |
| ミスによる手戻りリスク | 高い(知識ゼロからのスタートになりやすい) | 低い(ガイドに沿って進められる) | ほぼなし(専門家が事前にチェック) |
※金額・時間はいずれも目安です。資本金の額や役員構成、依頼する司法書士事務所によって変動します。合同会社の場合は定款認証が不要なため、①②とも費用はさらに6万〜11万円程度まで下がります。
誰が何をやるのか(ステップ別)
| ステップ | ①完全に自分で | ②クラウドサービス | ③司法書士に丸投げ |
|---|---|---|---|
| ①基本情報の決定 商号・事業目的・資本金・役員構成など | 自分 | 自分 | 自分 |
| ②定款の作成 | 自分で一から | フォーム入力で自動作成 | 司法書士が作成 |
| ③定款認証(公証役場) | 自分で公証役場へ | 電子定款作成は自分、認証もほぼ自分(代行オプションがある社も) | 司法書士が代行 |
| ④登記申請書類の作成 | 自分で一から | フォーム入力で自動作成 | 司法書士が作成 |
| ⑤法務局への登記申請 | 自分で窓口 or オンライン | 自分でオンライン申請(ガイドあり) | 司法書士が代理申請 |
| ⑥資本金の払込 発起人名義口座への振込 | 自分 | 自分 | 自分 |
| ⑦設立後の税務署等への届出 | 自分で調べて作成 | 自分(ガイド・テンプレートあり) | 税理士と別途契約すれば代行可のケースも |
- 基本情報の決定:商号・事業目的・資本金額・役員構成などは、司法書士に相談はできても最終的に決めるのは本人。ここを丸投げすることはできない
- 資本金の払込:発起人名義の口座に自分で振り込む必要がある。代行はできない
司法書士報酬の相場は5万〜15万円程度ですが、freeeの「登記おまかせプラン」のように、クラウド会社設立サービス経由で依頼すると定額(5万円程度)で司法書士に丸投げできる仕組みもあります。「自分で手を動かす時間はないが、②のクラウド経由で割安に丸投げしたい」という場合は、こうしたオプションも選択肢に入ります。
ここから先は、②のクラウドサービスを使うと決めた方向けに、freee・マネーフォワード・弥生の3社の違いを掘り下げます。
会社設立サービスとして、実は差がつく部分はごくわずか
freee会社設立、マネーフォワード クラウド会社設立、弥生のかんたん会社設立。どれも「必要情報をフォームに入力するだけで、登記に必要な書類一式と定款を自動作成できる」という点では共通しています。株式会社・合同会社の両方に対応しており、書類作成そのものの費用は3社とも無料です。
違いが出るのは、主に次の2点です。
| 項目 | freee会社設立 | マネーフォワード クラウド会社設立 | 弥生のかんたん会社設立 |
|---|---|---|---|
| 書類作成費用 | 無料 | 無料 | 無料 |
| 電子定款の代行手数料 | 5,000円台(年間契約特典で無料になる場合あり) | 5,000円台(有料プラン契約で無料になる場合あり) | 無料(弥生会計Next年契約の場合) |
| 公告方法 | 電子公告 or 自社サイト を選択可 | 電子公告 or 自社サイト を選択可 | 官報のみ |
| 紐づく会計ソフト | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | 弥生会計Next |
※電子定款費用・公告費用の実額や各種キャンペーンは変動します。申込前に必ず各社公式サイトで最新情報をご確認ください。なお、定款認証費用(合同会社は不要)と登録免許税(株式会社なら最低15万円、合同会社なら6万円)は、どのサービスを使っても別途実費でかかります。
つまり、「設立の手間や費用」だけを見て選ぼうとすると、実はほとんど差がつかないということです。強いて言えば、会計クラウドの利用予定が今のところなく、とにかく無料で済ませたいなら、電子定款まで無料になる弥生が一歩リードします。ただし、これはあくまで設立時点の話にすぎません。
本当の分かれ目は「設立後、何年使う会計ソフトか」
3社とも、会社設立サービスを無料で提供している理由は同じです。設立と同時に、自社の会計クラウドを使い始めてもらうための入り口として設計されているからです。電子定款の手数料が「自社の会計ソフトを年間契約すれば無料」という条件になっているのが、その一番わかりやすい証拠です。
ということは、会社設立サービスの選び方は、そのまま「これから何年も使うことになる会計ソフトを、どれにするか」という選び方と同じ問いになります。設立時の数千円の差にこだわるより、日々の記帳や決算をどのソフトでどれだけ楽にできるかで判断したほうが、トータルでは得をします。
freee:経理の知識がなくても、社長自身が記帳できる設計
freee会計は、簿記の知識がなくても質問に答えていく感覚で記帳を進められる設計が特徴です。AIによる自動仕訳の精度に力を入れており、経理担当を置かず社長自身が兼務で経理を回すような、創業初期の体制と相性が良いソフトです。法人向けプランは「ひとり法人」が最も安く、年払いで年間3万円台後半程度から。会計だけでなく人事労務や請求書、年末調整までを一括管理できる点も強みです。
マネーフォワード:複式簿記の知識がある人向け、拡張性重視
マネーフォワード クラウド会計は、複式簿記のルールに沿った画面構成で、簿記の知識がある経理担当者にとって扱いやすい設計です。弥生会計や勘定奉行など、他の会計ソフトからの乗り換えもスムーズなつくりになっており、「既存のソフトから移行したい」というケースに向いています。法人向けプランはfreeeよりやや低価格な傾向があり、税理士側がマネーフォワードでの連携を推奨しているケースも少なくありません。会計・給与・経費精算・請求書などを個別に組み合わせていく設計のため、フル活用するとトータルコストは他社より高くなりやすい点は押さえておく必要があります。
弥生:会計機能だけなら最安レンジ、サポート体制に安心感
弥生会計Nextは、会計機能だけに絞れば3社の中でも価格が抑えられる傾向にあります。プランはエントリー・ベーシック・ベーシックプラスの3段階で、経費精算や部門管理はベーシックプラン以上、電話サポートは最上位のベーシックプラスプランでのみ利用できます。長年デスクトップ版の弥生会計を使ってきた税理士や経理担当者も多く、老舗ならではのサポート体制の厚さは他社にはない安心材料です。
ヨリミチ珈琲・田中さんのケース(法人成りを検討中)
個人事業でカフェを軌道に乗せてきた田中さん。取引先が増えてきたこともあり、法人成りを検討し始めました。経理は今後も自分でやるつもりで、簿記の知識はほぼゼロ。顧問税理士もまだ決まっていません。
この場合、優先すべきは「簿記を知らなくても自分で記帳を回せるかどうか」です。田中さんはfreee会社設立を選び、電子定款無料特典を使うためにfreee会計の年間契約もあわせて申し込みました。もし先に顧問税理士を決めていて、その税理士がマネーフォワード指定だったなら、判断は逆になっていたはずです。
判断に迷ったら、この順番で考える
- ①顧問税理士が決まっている:その税理士が使い慣れているソフトに合わせるのが最優先。ソフトを先に決めてしまうと、後で税理士探しが難航することがある
- ②経理担当に簿記の知識がない・自分で記帳する:freeeが向いている
- ③簿記の知識がある担当者がいる/他社ソフトから移行したい:マネーフォワードが向いている
- ④とにかく安く抑えたい・電話サポートも欲しい:弥生が向いている
- ⑤電子定款費用の無料が最優先で、公告は官報で構わない:弥生を選べば設立時点のコストが最小になる
書類作成自体は3社とも無料です。実費としてかかるのは、登録免許税(株式会社は最低15万円、合同会社は6万円)と定款認証費用(合同会社は不要)。電子定款の代行手数料は弥生が無料、freeeとマネーフォワードは5,000円台で、対象の会計ソフトを年間契約すると無料になる場合があります。
先に顧問税理士を決めて、その税理士が対応できるソフトを優先してください。会計事務所によっては、freeeとマネーフォワードのどちらか一方しか対応していないケースもあります。ソフトを先に決めてから税理士探しをすると、選択肢が狭まってしまうことがあります。
技術的には可能ですが、仕訳データの移行には手間がかかります。乗り換えるなら決算期の切り替えタイミングが現実的です。最初の選定で、できるだけ長く使い続けられるソフトを選んでおくほうが、結果的に手間は少なくなります。
※本記事の料金・キャンペーン・サポート内容は2026年7月時点の情報に基づいています。各社の料金プランやキャンペーンは変更されることがあるため、実際の申込前には必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。「田中さん(ヨリミチ珈琲)」は本記事のための架空の事例です。
そこから黒字化まで、fundoが伴走します。
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