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公庫面談で聞かれる質問20と、落ちる回答の実例

fundo編集部 ·
公庫面談で聞かれる20問|模範回答つき【ヨリミチ珈琲で実演】
創業融資 / 公庫面談対策

公庫面談で聞かれる20問
模範回答つき【ヨリミチ珈琲で実演】

面談は試験ではなく「計画書と本人の整合性チェック」。
20問すべてに、架空のカフェ事例「ヨリミチ珈琲」の回答例をつけて完全解説します。
この記事の事例設定(すべて架空)
「ヨリミチ珈琲」/駅前4坪のテイクアウト特化コーヒースタンド+自家焙煎豆の定期便・オフィス卸
代表:大手カフェチェーン店長5年(月商800万円の損益管理経験)、自家焙煎歴3年、週末イベント出店20回・豆600袋販売実績
必要資金:950万円(自己資金250万円+公庫創業融資700万円)/2年目に単年黒字化目標

面談で担当者がやっていること

公庫の面談は15〜30分。面接試験ではありません。担当者がやっているのは「計画書と本人の整合性チェック」です。

確認しているのは2点だけです。①計画書に書いてあることを、本人が自分の言葉で説明できるか。②書いていないリスクを、本人が認識しているか。この2点を確認するための質問が、形を変えて飛んできます。

つまり対策は丸暗記ではなく、「自分の計画書を自分で再現できる状態」を作ること。その確認用に、聞かれる質問を20問、カテゴリ別に並べます。回答例はすべてヨリミチ珈琲の設定で示します。

POINT
担当者は稟議書を書く人間です。あなたを落とすのが仕事ではなく、「上司に承認させるための材料集め」が仕事。模範回答を丸暗記するのではなく、自分の数字に置き換えて練習してください。
最重要:これがある人は必ず読む

既存売上がある人は、
多少とちっても数字が語ってくれる

面談の準備で一番やるべきことは、回答の練習より前にあります。開業前に実際に売った実績を作ることです。売上という事実がある人と、計画だけの人では、担当者の見方がそもそも違います。
計画だけの人
「月100杯売れる見込みです」
→ 根拠を証明しきれなければ、担当者が保守的な数字に引き直す。その分、返済余力が低く評価されて減額になる。
既存売上がある人
「イベント出店で月平均6万円・20回の実績があります」
→ 売れた事実は計画ではなく実績。担当者が数字を引き直す理由がなくなる。Q9〜Q11の回答が丸ごと強くなる。
言葉に詰まっても大丈夫
「売上管理表をお持ちしています」「通帳でご確認いただけます」の一言で、うまく説明できなかった部分を書類が補ってくれます。数字があれば口下手は関係ない。
少額でもゼロとは別物
月1万円の売上でも、試飲会に31名来ても、知人に1件売れていても、それは「まだ売っていない」とは違います。担当者は金額より「売った事実があるか」を見ています。
▶ ヨリミチ珈琲の場合:イベント出店20回・豆600袋・売上約120万円の実績+定期便8件の申込済み。これがあるから、Q9〜Q11の回答が「計画」ではなく「実績の延長」として読まれます。
▶ 面談前にできること:マルシェ出店・クラウドファンディング・モニター販売・知人への試験販売・SNS経由の受注。金額より「売れた回数と人数」を記録しておくこと。
A 自己資金とお金の経歴(4問)
Q1自己資金はどうやって貯めましたか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「チェーンの店長時代、手取り28万円から毎月6万円、ボーナスから年20万円を3年間積み立てました。独立を決めた3年前から専用口座を作って管理しています。通帳をお持ちしているのでご確認いただけます。合計250万円です」
月額・期間・総額がセットで言えること。「コツコツ貯めました」は解像度が低すぎて見せ金疑惑を招きます。「通帳を持参しています」の一言が疑念を先回りで消します。
Q2(通帳を見ながら)この入金は何ですか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「昨年11月の50万円はイベント出店20回の累計売上を一括移動したものです。売上管理表をお持ちしています。その他の入金はすべて給与と賞与で、通帳の給与欄と一致します」
Q2は見せ金チェックです。説明できない入金が1件でもあると、そこから深掘りされます。通帳を渡す前に自分で全入金に説明をつけておくのが鉄則です。
Q3現在の借入(住宅ローン・カードローン・奨学金)はありますか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「奨学金の残債が38万円あります。月返済額は6,500円で、あと5年です。住宅ローン・カードローンはありません。この返済は収支計画の経費欄に織り込み済みです」
借入がある事実は減点になりません。「聞かれて初めて言った」という事実が減点になります。先に全部言う。信用照会で必ず分かります。
Q4税金や公共料金の滞納はありませんか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「滞納はありません。住民税・所得税はすべて口座引落で、2年分の納税証明書をお持ちしています」
滞納がない場合は即答でOKです。過去に滞納があった場合は「○年○月に完済しており、現在はありません」と完済の事実とセットで言います。
B 経験と能力(4問)
Q5この事業の経験は何年ありますか?具体的に何をしていましたか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「飲食・カフェ業界に8年います。うち5年は大手チェーンの店長として、月商800万円規模の店舗運営を担当しました。並行して3年前から自家焙煎を始め、週末のマルシェ出店を20回経験しています」
総年数だけでなく「何の経験か」を具体的に言うことが重要。「カフェが好き」ではなく「損益管理・仕入・スタッフ管理を経験した」という事実が与信になります。
Q6前職での実績を数字で教えてください
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「担当店舗の月商は800万円、原価率28%・人件費率32%で管理していました。赴任1年目に客単価を620円から680円に改善し、月次黒字を定着させました。イベント出店では20回で豆600袋・売上約120万円の販売実績があります」
「頑張っていました」「評価されていました」は数字ではありません。原価率・人件費率・客単価など、自分の事業に直結する数字で話す。担当者はここで「計数管理ができる人か」を判断しています。
Q7なぜ勤め先を辞めて独立するのですか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「駅前のコーヒースタンドという業態で独立するためです。チェーンでの経験でメニュー構成・損益・仕入の仕組みは身につきました。あとは自分でやるタイミングだと判断しました。前職への不満ではなく、この事業をやるために辞めます」
前職の悪口や不満は絶対に言わない。「この事業をやりたいから辞めた」という順番で答えることです。後ろ向きな動機は担当者の印象を下げます。
Q8経理や数字の管理は誰がやりますか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「月次の会計は顧問税理士(○○事務所、月2万円)に依頼します。日々の売上・原価・現金管理はPOSシステムで自動集計し、私が毎日確認します。前職で5年間、日次・月次の損益管理を自分でやっていたので、数字は得意分野です」
「税理士に任せます」だけでは弱い。自分も数字を見ていることを示す。Q8はひとり起業への不安を解消する質問なので、「人に丸投げ」より「税理士+自分で管理」の二段構えが好印象です。
「数字で言えない人」は経験年数に関係なく面談が苦しくなる
Q6に対して「頑張っていました」「評価はされていました」と答える人は、2,000件の面談で一定数います。担当者は数字の規模や優秀さを知りたいわけではなく、「この人は仕事の数字を自分ごとで追っていたか」を確認しています。
特に反応が変わる言葉は「損益管理」「原価率」「予算対比」です。飲食なら客単価・原価率・人件費率、IT系なら稼働率・案件単価・受注件数。これをメモなしで言える状態で来ているかどうかで、残りの面談の難易度が変わります。
C 事業計画の中身(5問)
Q9売上予測の根拠を説明してください
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「店頭売上は客単価650円×1日100杯×月26日で月169万円です。100杯の根拠は、駅の乗降客数21,000人のうち西口通過40%・コーヒー購入習慣35%・当店獲得目標3.4%で逆算しました。通過率40%は平日5日間、朝7〜9時に自分で現地カウントした実測値です。加えて定期便8件×3,000円と卸2社×5万円で月23万円の積み上げがあります」
「100杯売れると思います」で止まると必ず「なぜ100杯ですか?」と来ます。根拠を段階的に逆算して、かつ「自分で調べた数字」と言えることが重要です。
Q10最初のお客さんは誰ですか?もう決まっていますか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「定期便については、イベント出店時代に豆を買ってくださった常連の方20名に事前案内したところ、8名から申込をいただいています。卸については、前職の取引先の総務部から月1万円規模の打診が来ています。店頭はこれからですが、SNSで告知した試飲会に31名の申込がありました」
全カテゴリの中で最も面談の空気を変える質問です。「決まっています」と言えるものが1件でもあると、担当者の表情が変わります。開業前に必ずテスト販売・モニター・試飲会で「買った人の実績」を作ってください。
Q11競合は誰で、なぜお客さんはあなたを選びますか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「駅周辺の競合は6店です。大手チェーン2店・個人カフェ2店・コンビニ2店で、全店に実際に入って提供時間を計りました。大手チェーンの朝は平均10分並びます。私の想定は注文から90秒です。スペシャルティコーヒーを90秒で出すという空席が、この商圏には存在しています。比較表を計画書に添付しています」
競合を実際に調べたか・買いに行ったかが一目で分かる回答が最強です。「競合より質がいいから」ではなく、「埋まっている席と空いている席」を示すことが目的です。
Q11で担当者が前のめりになった瞬間(再現)
担当者実際に全店で買われたんですか?
申請者はい。5日間、朝7時から9時に計測しました。カウントシートを持参しています。
担当者(しばらく書類を確認して)分かりました。続けてください。
「分かりました」と言って次に進んだ時点でQ11は合格です。自分の足で取ったデータが、言葉よりも早く担当者に届きます。
Q12価格はどうやって決めましたか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「コーヒー1杯の原価(豆・牛乳・カップ)が130円で、目標原価率20%から逆算すると650円になります。競合の大手チェーンが530〜580円、個人カフェが700〜850円なので、価格帯として成立しています。イベント出店時に650円で20回販売した実績があり、価格への抵抗はほぼありませんでした」
「相場感で決めました」は答えになりません。原価率から逆算した根拠+競合との比較+実際に売れた実績の3点セットで答えます。
Q13この立地(販路)を選んだ理由は?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「朝の通勤導線にある西口改札前です。乗降客数21,000人・うち西口通過が40%(実測値)で、朝のコーヒー需要が最も発生しやすい時間帯に最も人が通る場所です。また今春から駅前再開発が始まり、2年後にオフィスビルが竣工します。今のうちに認知を取っておくことが重要と判断しました」
「家から近いから」「空きがあったから」は立地を選んだ理由になりません。数字+将来性のある外部環境変化を根拠にすると、「今でなければならない理由」にもなります。
D 資金使途と返済(4問)
Q14借りたお金は何にいくら使いますか?(見積書との突合)
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「設備資金が600万円で、内訳は内装工事380万円・厨房機器180万円・POSシステム40万円です。3点とも見積書を取得しており、本日お持ちしています。運転資金が100万円で、月固定費33万円の3ヶ月分です。自己資金250万円と合わせて合計950万円になります」
「開業費一式600万円」とまとめた時点で負けです。品目ごとに金額と見積の有無が言えることが最低ライン。見積書を持参していれば、担当者が稟議書に転記できます。
Q15希望額の根拠は?なぜこの金額なのですか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「見積書の合計が600万円、運転資金が月固定費33万円の3ヶ月分で100万円、合計700万円です。多めに借りようとは考えておらず、積み上げた数字の合計がこの金額になりました」
「多めにあったほうが安心なので」は即アウトです。「安心」という言葉が出た瞬間、積算根拠がないと判断されます。希望額は見積合計+運転資金計算の合計でしか説明できません。
Q16月々の返済額はいくらで、何から払いますか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「7年返済・金利1.9%で月約9.4万円です。返済原資は月次利益に減価償却費を加えた額から払います。2年目の収支計画では月次利益6万円・減価償却費4万円で月10万円の返済余力が出る見込みです。1年目は運転資金350万円の範囲内で対応します」
「利益から返します」だけでは弱い。返済原資は「利益+減価償却費」が正しい枠組みです。減価償却費は実際のキャッシュアウトがないので返済に充当できます。この概念を言えると担当者の評価が変わります。
Q17運転資金は何ヶ月分を想定していますか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「固定費の3ヶ月分として100万円を計画しています。これに加えて自己資金のうち設備投資に使わない部分が残り、合計で立ち上がり6ヶ月分の下振れ耐性があります。1年目に▲300万円の赤字を計画していますが、運転資金350万円の範囲内に収まる設計です」
「3ヶ月分」という数字だけでなく、「想定赤字と運転資金の関係」まで説明できると完答です。1年目赤字が運転資金の範囲内=「想定済みの赤字」として読まれます。
E リスクと撤退(3問)
Q18計画どおり売上が立たなかったらどうしますか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「3ヶ月連続で計画の6割(月100万円)を切った場合は、まずパート1名分の人件費8万円を削減します。次に週末のマルシェ出店(月2回・見込み売上4万円)を再開します。それでも改善しない場合は、定期便とオフィス卸に重心を移してテイクアウトの座席数を減らすことで固定費をさらに削減できます。最悪ケースでも手元資金は6ヶ月持ちます」
「頑張ります」「そうならないように努力します」は最も多い失格回答です。条件・数字・行動の3点セットで答えてください。下振れを想定している事実そのものが担当者への安心材料になります。
Q19ご家族はこの開業に賛成していますか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「賛成しています。妻も内容を把握しており、開業後1年間は月給20万円に抑える計画についても合意しています。妻のパート収入が月12万円あるので、生活費については問題ない見込みです」
Q19は家族の賛否より「家計全体を把握した上で開業しているか」を見ています。代表者の月給を抑えた計画がある場合、「配偶者の収入で生活できる」という具体的な数字を添えると、Q19はそこで終わります。
Q20身体を壊したら事業はどうなりますか?
✅ ヨリミチ珈琲 回答例
「短期の休業に備えて、同業の友人(自家焙煎経験あり)に有事の代打を依頼済みです。長期の場合は休業補償保険に加入する予定で、月2万円の保険料を収支計画に織り込んでいます」
ひとり起業の最大の不安を先回りで消す質問です。「考えていませんでした」は即減点。具体的な代替手段を1つ持っているかどうかだけで十分です。

落ちる回答・実例3つ

2,000件の面談で繰り返し見てきた「失格回答」のパターンを3つ、実例とセットで整理します。

❌ 失格パターン1 / Q18「売上が立たなかったら?」
最も多い失格回答
「そうならないように頑張ります」
聞かれているのは気合ではなく下振れ時の打ち手です。「頑張ります」で担当者は稟議書を書けません。
✅ こう答える(ヨリミチ珈琲版)
「3ヶ月連続で計画の6割を切ったら、パート1名分8万円を削減し、週末マルシェ出店(月2回・4万円)を再開します。最悪ケースで手元は6ヶ月持ちます」
❌ 失格パターン2 / Q1「自己資金はどうやって?」
解像度が低すぎる回答
「コツコツ貯めました」
嘘ではなくても、通帳の数字と一致する説明が言えないと出所を疑われる方向に話が進みます。
✅ こう答える(ヨリミチ珈琲版)
「手取り28万円から毎月6万円を3年間、ボーナスから年20万円の積立です。通帳をお持ちしているのでご確認いただけます」
❌ 失格パターン3 / Q15「なぜこの金額?」
積算根拠がない証拠として扱われる回答
「多めにあったほうが安心なので」
「安心」という言葉が出た瞬間、積算根拠がないと判断されます。この言葉が出ると減額か否決に寄ります。
✅ こう答える(ヨリミチ珈琲版)
「見積書の合計600万円に運転資金3ヶ月分100万円を加えた、積み上げの合計です。見積書は本日お持ちしています」

現場エピソード:担当者3タイプと対応法

面談の担当者は一枚岩ではありません。2,000件で見えてきたタイプ別の傾向と対応方針を整理します。

タイプ①「数字を掘る」型
売上計画の根拠を繰り返し深掘りしてくる担当者です。「100杯の根拠は?」「その35%はどこから?」「自分で測りましたか?」という具合に、数字の出所を1層ずつ確認してきます。
対応:計画書の数字はすべて「出所」を言えるようにしておく。「自分で調べた・自分で数えた」という一次情報が最も強く、それ以上掘られることはほぼありません。「ネット記事に書いてありました」で止まると、そこから苦しくなります。
タイプ②「リスクを掘る」型
Q18〜Q20のEカテゴリを重点的に聞いてくる担当者です。「売上が半分だったら?」「競合が値下げしたら?」と想定外のシナリオを次々に投げてきます。
対応:「月商が50%になった場合、固定費◯万円・変動費◯万円・手元資金◯ヶ月持ちます」という最悪ケースの数字を事前に計算しておく。準備していない人は答えが毎回揺れて、担当者の不安を強める悪循環に入ります。
タイプ③「段取りを見る」型
計画の中身より「何を準備したか」を確認する担当者です。「見積書はお持ちですか?」「テスト販売はしましたか?」という質問が中心で、開業前の行動量を評価しています。
対応:面談当日の持参物で差がつきます。見積書・競合調査メモ・試作販売の写真・通帳コピー。「持ってきました」と言えるものを1つでも多く用意してください。書類を出せる人と出せない人で、担当者の扱いが明らかに変わります。
想定外だった質問:「なぜ今なんですか?」
カテゴリに入れていませんが、繰り返し出てくる質問が「なぜ今なんですか?」です。独立のタイミングへの問いで、準備していない人は感覚で答えて詰まります。
担当者なぜ今独立されるんですか?もう少し経験を積んでからでも、ということはありませんか?
申請者今春から駅前再開発が始まり、2年後にオフィスビルが竣工します。開業後に認知を取り始めても遅い。このタイミングを逃すと機会がなくなると判断しました。
「外部環境の変化+具体的な期限」があれば「今でなければならない理由」になります。感覚ではなく、事実で答えてください。

言ってはいけない禁忌ワード5選

特定の単語・フレーズを口にした瞬間、担当者の頭の中で「要確認」フラグが立つものがあります。内容の良し悪しより先に、言葉の選択で印象が決まるケースです。2,000件の面談で繰り返し見てきた「言った瞬間に詰む」発言を5つ、理由とセットで整理します。

禁忌 1 Q18・Q20などリスク質問全般
「そうならないように頑張ります」
聞かれているのは気合ではなく打ち手です。この回答は「下振れを想定していない」と読まれます。担当者が稟議書に書ける情報がゼロなので、そこから追加質問が止まらなくなります。
「頑張る」「努力する」「全力を尽くす」はすべて同じ扱いです。条件・数字・行動の3点で答えてください。
⚠ 影響:リスク認識なしと判断 → 減額または否決
禁忌 2 Q15 希望額の根拠
「多めにあったほうが安心なので」
「安心」という言葉が出た瞬間、積算根拠がないと確定します。希望額は見積書合計+運転資金計算の合計以外に根拠がありません。「安心のために上乗せした」ということは、その上乗せ分は使途がないということです。
担当者の頭の中では「使途不明の金額があるなら、その分を減額すればいい」という計算になります。
⚠ 影響:上乗せ分がそのまま 減額 の根拠になる
禁忌 3 Q7 独立の動機、Q5 経歴全般
「前の会社が〇〇で…(不満・悪口)」
担当者が測りたいのは「この人はポジティブな理由で独立したか、後ろ向きに逃げてきたか」です。前職への不満・悪口は後者の証拠として扱われます。人間関係トラブルを匂わせる発言も同様です。
独立の動機は「この事業をやりたいから辞めた」という順番で語ること。前職の話は、実績を数字で示す文脈以外では最小限にしてください。
⚠ 影響:人物評価が下がる → 心証悪化・審査厳格化
禁忌 4 Q9 売上根拠、Q11 競合調査
「ネットで調べたら〇〇と書いてあって」
「なんとなくこのくらいだと思って」
一次情報(自分で調べた・測った・売った)と二次情報(ネット記事・他人の話)では、担当者の受け取り方がまったく違います。「ネット記事によると」は、数字の信頼性をゼロに近づける表現です。
「なんとなく」「だいたい」「おそらく」も同じです。すべての数字に「自分で確認した根拠」を添えてください。根拠がない数字は言わないほうがいい。
⚠ 影響:売上計画の信頼性が崩れる → 売上見込みを保守的に再計算 → 減額
禁忌 5 Q3・Q4 借入・滞納の確認
(借入・滞納があるのに)「特にありません」
公庫は信用情報機関(CIC・JICC)への照会を申込と同時に行います。カードローン・奨学金・税金滞納・公共料金の未払いはほぼ確実に把握されています。面談で「ない」と言ったことが後から発覚すると、虚偽申告として扱われます。
借入や過去の延滞があること自体は、多くの場合それだけでは否決にならない。「隠していた」という事実が否決の理由になります。先に全部言う。それだけです。
⚠ 影響:虚偽申告 → 即否決・以降の申込に悪影響

どの答えが減額に直結するか

「落ちる」か「通る」かの二択で考えている人が多いですが、実態は違います。公庫の面談結果で最も多いのは「減額して承認」です。希望700万円が500万円になって承認される、というパターンが、完全否決より圧倒的に多い。

減額の根拠は担当者が稟議書に書けるものに限られます。つまり、「この回答があったから、この項目をこの金額で計上した」という形で説明できるものだけが減額の材料になります。逆に言えば、どの質問でどう答えるかが、そのまま最終承認額に影響します。

回答内容と減額リスクの対応表
質問・テーマ
減額リスク
担当者の判断ロジック
Q15 希望額の根拠
「安心のために多めに」
高:即減額
使途不明の上乗せ分は稟議書に書けない。根拠のない金額をそのまま削る。
Q9 売上根拠
「なんとなく100杯」
高:見込みを保守値で再計算
根拠のない売上計画は保守的に引き直す。返済余力が下がった分だけ承認額を絞る。
Q14 資金使途
見積書なし・品目まとめ
高:設備資金を圧縮
見積書がない品目は「本当に必要かどうか不明」として削減対象になる。
Q1・Q2 自己資金
出所の説明ができない
高:見せ金認定で自己資金減算
見せ金と判断された金額は自己資金から除外される。自己資金比率が下がると融資額も下がる。
Q17 運転資金
「3ヶ月分」の根拠なし
中:運転資金を1〜2ヶ月分に圧縮
固定費の根拠が薄いと、標準的な1〜2ヶ月分に引き下げられる。
Q16 返済原資
「利益から返します」のみ
中:返済余力を低く評価
減価償却費を加味した説明がないと返済余力が低く見積もられ、承認額に影響する。
Q18 下振れ対策
「頑張ります」
中:全体リスク評価が上がる
リスク認識なしと判断されると、審査全体が厳格化する。単独で減額にはなりにくいが積み重なると効く。
Q5・Q6 経験・実績
数字で言えない
中:事業リスクが高いと判断
未経験・経験が浅いと判断されると、返済期間の短縮や金利上乗せで調整されるケースがある。
Q3・Q4 借入・滞納
ある+先に言えた
低:返済額を織り込み済みで処理
先に申告してあり、収支計画に織り込まれていれば減額には直結しない。隠すと即否決。
※ 減額リスクは単独ではなく複合で効く。「根拠なし売上+見積書なし+安心のため上乗せ」が重なると、希望額の30〜40%が削られることもある。
POINT:減額を防ぐ最短ルート
①見積書を全品目で取得して持参する(Q14・Q15の減額リスクを一気に消す)
②売上根拠を自分で取った数字で説明する(Q9の保守的再計算を防ぐ)
③自己資金の出所を月額・期間・通帳で証明できる状態にする(見せ金認定を防ぐ)

この3点だけで、減額リスクの大半はカバーできます。

準備は「模擬面談1回」で十分変わる

20問を眺めて答えを書くより、誰かに計画書を渡して30分質問してもらうほうが10倍効きます。声に出すと、自分がどこで詰まるかが正確に分かります。詰まった場所が、計画書の弱点そのものです。

相手がいなければAIが面接官役をやります。計画書の内容を貼り付けて「公庫の面談担当者として質問してください」と頼むだけで、弱点が浮かび上がります。

面談当日の持参物チェックリスト
✅ 事業計画書(別添含む)
✅ 見積書(設備資金の全品目)
✅ 通帳コピー(直近2年分)
✅ 納税証明書(住民税・所得税)
✅ 競合調査メモ・現地カウントシート
✅ テスト販売・試飲会の記録(写真・売上)
✅ 奨学金・借入の返済明細(ある場合)

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※本記事の「ヨリミチ珈琲」の回答例・ダイアログはすべて解説用の架空事例です。実際の面談の流れ・質問内容は担当者や支店によって異なります。数値はすべて説明用に設定したものです。
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