「自分が欲しい」だけで作ったサービス多すぎ….。そのサービス顧客のこと見ていますか?
インタビューをしていて、いつも思うことがある。みんな、自分の事業に自信を持ちすぎている。
「自分が困ったから作った」――これは強い。利用者の気持ちが、痛いほど分かるからだ。出発点としては、最高にいい。
ただ、ひとつだけ確認させてほしい。それ、本当にその値段で買う人がいますか。
01 / Price安くしろ、という話ではない
先に言っておくと、値下げしろという話じゃない。むしろ逆のことすらある。
健康に金を使う人に、安い水を売っても響かない。「安い=効かなそう」だからだ。価格は時に、高いほうが売れる。
価格は「あなたの原価」でも「競合の値段」でもなく、客が抱えている痛みの大きさで決まる。月10万円損している問題なら、3万円の解決策は安い。
論点は、値段の高い・安いじゃない。「その痛みに、その金額を払う人が、本当にいるか」だ。
02 / Audienceで、その人に聞きましたか
ここで、大半がつまずく。
まず、そもそもターゲットに聞けているか。買わない人に100人聞いても、何も分からない。必要なのは、その問題で実際に困っていて、払う予算と決める権限を持っている人だ。
そして、聞けていたとして――聞き方を間違えると、答えは全部ウソになる。
03 / The Wrong Question「買いますか?」が、ほぼウソを生む理由
一番ダメな質問が、これ。「これ、買いますか?」
聞かれた相手は、未来の自分の財布を想像できない。だから気をつかって「いいね、買うかも」と言う。あなたは手応えを感じる。でも、発売したら誰も買わない。
人は、これから何を買うかを正直に語れない。語れるのは、過去に何をしたか、だけだ。
04 / The Right Questionだから、こう聞く
未来とアイデアの感想を聞くのをやめる。過去の行動と、すでに払った金を聞く。これだけで、インタビューの精度は格段に上がる。
- 「最後にその問題で困ったのは、いつですか。そのとき、何をしましたか」仮定じゃなく、実際にとった行動を引き出す。動いていない問題は、本物の痛みじゃない。
- 「いまその問題に、毎月いくら/何時間使っていますか」痛みを金額に変換する。ここが、あなたの価格の根拠になる。
- 「これまで解決しようとして、何を試しましたか。いくら払いましたか」すでにお金を払った経験=本物の需要。財布を開いた相手は、また開く。
- 「それ、なぜ使うのをやめたんですか」競合への不満が、そのままあなたの勝ち筋になる。
- (最後に見せて)「実は今こういうものを作っています。先行で◯円、今申し込めます。やりますか」感想じゃなく、行動を求める。ここで初めて、需要が「言葉」から「事実」になる。
「いいね」は、データじゃない。財布・時間・紹介。この3つのどれかを出して初めて、需要が確認できる。
言葉はタダだ。相手が何を言ったかではなく、何のために動いたかだけを見る。前金を払った、時間を空けた、知り合いを紹介した――この3つだけが、信じていい信号だ。
05 / Templateインタビュー項目(そのまま使えるテンプレ)
- 属性/ターゲットど真ん中か。買う立場・決裁権・予算があるか
- 過去/直近でその問題に直面した、具体的な場面
- 行動/そのとき実際にやったこと、調べたこと
- コスト/その問題に今かけている金・時間
- 既存策/試したもの、払った金額、やめた理由
- コミット/先行予約・前金・紹介のどれかが出るか
- 「あったら使いますか?」(未来の仮定)
- 「いくらなら買いますか?」(理想の数字しか出ない)
- 「このアイデア、どう思いますか?」(気をつかった感想が返る)
06 / MVPMVPの作り方
お金には限りがある。だから、いきなり完成品を作るな。作るのは「人が金を払うか」を試す、最小の仕掛けだ。
軽いものから試す ― MVPの3つの形
- 手売りMVP/商品はまだない。あなたが手作業で価値を届ける。「ツール」と謳って、裏は全部手動でもいい
- LP+決済ボタン/1枚のページと申込ボタンだけ作り、DM・少額広告を回す。押されるか=需要
- 先行予約・前金/モノができる前に予約を取る。前金が入れば、それは本物だ
作るのは「機能」じゃない。「払うかどうかのテスト」だ。きれいなプロダクトは、売れると分かってから作ればいい。
何人に聞くか
まず10人。5人で兆候が見え、10人で「同じ痛み」のパターンが見えてくる。同じ言葉が3人から出たら、それはもうあなたの思い込みじゃない。市場の声だ。
回し方:聞く → 直す → また聞く。3週間で1周を目安に。
07 / Sellingそして、売ってみる
検証と販売を、分けて考えない。インタビューは、もう販売の入口だ。
- インタビューした人にまず売る/一番あたたかい見込み客。痛みを語った本人だ
- 作る前に売る/先行予約・前金で、キャッシュを先に取る。需要の最終確認になる
- チャネルは1つに絞る/最初は手売り。再現できてから広げる。自動化はその後
- 金が動いた数だけ数える/指標は「いいね数」じゃない。申込数・前金額・紹介数
最初の1件が、一番難しくて、一番価値がある。そこにたどり着くまでは、効率や自動化を考えなくていい。
08 / Summaryまとめ ― 精度の高い事業モデルの作り方
- ターゲットを「買う人・決裁権・予算」で絞る
- 未来じゃなく過去を聞く。すでに払った金を探す
- 痛みを金額にして、価格の根拠にする
- 払うかを試す、最小のMVPを作る
- まず10人に当てて、直して、また当てる
- インタビューした人から、前金で、作る前に売る
- 金が動いた数だけ数える
自分のアイデアを信じるのはいい。ただ、信じることと、確かめることは別だ。確かめてから、賭けよう。
fundo 編集部|上場企業の経営企画 × 2,000件の起業家インタビュー。「事業黒字化まで、全部やります。」を掲げ、創業から黒字化までフルスタックで伴走しています。